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ゴルフコンペ『酒楽会』 その(2) 

吹き狂う風、肌を突き刺し視界を奪う横殴りの雨に果敢に挑んだ勇士たちは、午前中のラウンドを終えクラブハウスへ戻ってきた。既に台風は去り、雨は時折まばらに降る程度、風は少し弱まった。皆、笑みの中に若干の疲れが見え隠れはしたが闘った充実感が表情を引き締め、いつもの酔っ払いの顔ではなかった。昼食をきっちり食べ午後の戦いに備えなければならない。同じ組で回った私を含めた4人は、同じテーブルを囲み、最初に中生のルービーを注文した。

イタリア代表であるピザール・トッカチーニ氏はパスタを注文。私も同じものを頼んだ。彼のパスタソースは醤油味、私は中華風胡麻ソース。「冷やし中華」だ。彼には午前のプレー中かなり驚かされた。我々がグリーンでパッティングしている際、グリーンをほうきで掃いていた。自分が荒らしたバンカーを均すのは知っていたが、グリーン上でもそのようにするとは何とも綺麗好きな人だなあと。しかし掃いているのではなかった。パッティングしていたのだった。

そんな特殊なパターがあるとは、プロ4か月の私に分かるはずもない。上村晋氏はいつもながらのカツカレーの大盛り。大御所「司」のマスターはなぜかチラシ寿司を食べていたような?皆、寡黙に食事をしながらも午後のコースマネージメントを練っていたが、隣のテーブルからはベルリンの壁を突き破るほどの大きな声が時折聞こえてくる。そう、人呼んで悪い仮面ライダー。ショッカーのように「イー」と叫び、やけくそになっていた。スコアがかなり乱れたらしい。

後半のラウンド。13番ホール504yd。風はアゲていた。左にゆるく湾曲しているホール。ドライバーで右側のフェアウエーど真ん中に250yd飛ばし、アイアンでグリーン手前の花道に落としたい。肩の力を抜き風に負けない低い弾道で打つ筈が、右方向を意識し過ぎ更には高く打ち上げてしまった。上空で風に負け弾道は右へ右へと引っ張られ隣ホール近くの森の中へ。フェアウエーを狙える位置に落ちていたのは幸いであった。が、信じられない光景を目にした。

なんと14番ホールのレディース・ティで仮面ライダーがまさに今ティショットをしようとしている。「彼はオカマか?はたまた女か?」と頭は混乱した。「イケない、イケない」と私は集中力のギアを1段あげた。そして自分のプレーに集中。後日聞いたのだが、レギュラーティでチョロってレディースティに落ちたのだと。第二打だったのだ。そしてオカマの14番ホール158ydへ。チョロってオカマにはなりたくない私。邪念で力み過ぎグリーン右のバンカーへブチ込んでしまった。

15番ホール428yd。グリーンまで真っ直ぐなホールではあるが、左右の森がセンターへせり出しフェアウエーが狭い。フェアウエーセンターに230ydの黄色い旗が立っている。風は8時から2時の方向でほぼフォロー。ここで私は勝負をかけるしかない。コミック『黄金のラフ』で覚えた喜怒哀楽の「喜」を使ってみよう!と考えた。笑みを浮かべ口元をヨダレが流れ出る位ゆるめる。すると肩や全身の力が抜けドライバーを振りぬくことが出来るのだ。

私は集中力のギアを更にもう一段回上げた。目は五木ひろしのように細めニコニコとし、口からは子牛のようにヨダレが垂れてきた。「今だ!」。左手をテコの原理で押し下げコックを始動させた。トップを右耳の近くで感じドライバーを振り下ろした。「カキ~ン~」と高く鋭い金属音が聞こえた。ボールの抵抗は一切無い。「芯食った~」。230ydの旗の先をキャリーで越えればなだらかだがグリーン手前までは下り坂。330ydはランも含め行ったのでは?

低い弾道で黄色い旗方向にグングンと飛んでいく。プロになって4か月。生まれてこの方、このような真っ直ぐでまともな打ち方が出来たことは無かった。余りにも嬉しすぎて諸先輩方に「生まれて初めてまともなドライバー打つことが出来ました」と、ヨダレを拭きながら告白した。フェアウエーのど真ん中を喜びを噛みしめ目は笑ったままで歩いた。黄色い旗が近付いてくる。その前に白いボールがポツンとあった。私のボールだ。ま、いいか、ここまで飛べば!

滅多にドライバーを練習することが無かったので、自分の飛距離さえ分からなかったのだが、たまたまうまく当たって普通に飛べば230yd飛ぶことが今日分かった。このイメージがある限り、今後、ドライバーを振ることを怖がることは無くなるであろう。私の師匠である上村晋先生はスプーンで私の先、約260yd地点まで飛ばしていた。その先からは更に急な下り坂。もう少し飛べばランで稼げたのに残念だと、要らぬ師匠の心配までした可愛い弟子の私。

ピザーロ・トッカチーニ氏は私より5yd足りなかった。飛距離で私に負けたのが悔しかったのか、トッカチーニ氏はユーティリティー(トッカチーニ氏は私の知らない色々な道具を持っている。ほうきパターも同様に)で2打目を2回空振りした。って言うか、私なんかを相手にするレベルの人ではない。練習はしないが本番で結果を出す人なのだから…。実際、今回も準優勝。「このメースー、浮かれてんじゃネエヨ!」と皆が怒っているのが分かっちゃいました。(次回へ続く)
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